「……、……」 怖くて声が出ない。 美しい彼の顔をこんなにも怖くなるとは微塵も思っていなかった。 「……自分の力で耐えてみせろ。…お前、あれが我慢できたんなら大丈夫だろ」 ハサミを指差し、八神はニコリと笑った。 さっきまでの黒く、重い苦しい空気は無くなった。 「……うん」 「強気な女は嫌いじゃない。じゃあ、また。…ああ、また、があったら…だけど」