陽菜って呼んでくれたのはあの1回で、その後は"お前"と"佐々木"。

元に戻ってるし!!


「それは……まあ、クセっていうか……」


問い詰めたいところだったのに、和希くんにしては歯切れの悪い言葉を聞いているうちに学校に着いてしまった。

和希くんは逃げるようにクラリネットパートの練習している教室に向かっていく。

ちっ、逃げられた。


「おはよう」


頬を膨らませたまま、フルートパートの練習部屋に向かっていると声をかけられて、慌てて振り返る。



そこには木下美波の姿があった。