「姫、時間はよろしいのですか?」


「……え?ってやばっ!!」


樋口さんに言われて時計を見
ると、もう家を出る時間だ。

今日は久々の部活なのに遅刻しちゃう!


和希くんに「急がないと!」って言おうとしたら、彼はもう立ち上がって出かける準備を始めていた。


何とか和希くんが家を出るまでに準備を整えて、息が切れたまま学校への道を早歩きで進む。


「佐々木ってさ、本当にお嬢様だったんだな」


呟くように言われた言葉だったが、私にはスルーできない言葉があった。

それは……


「さっきも今も私のこと"佐々木"って呼んだ……」