「なんですか」


樋口さんが冷たく言う。それでも和希くんはひるまない。


「樋口さんがおっしゃることはもっともだと思います。でも、ちょっと待ってください。俺たちはお互いのマイナスになるような関係じゃありません」


私はその言葉をただ、黙って聞いているだけだった。

私が思っていることも同じだったから。


そして嬉しかったから。


間違いなく、私にとって和希くんは私の世界を広げてくれる存在で、和希くんにとってもプラスになれているならこれ以上の幸せはない。


樋口さんは真意を確かめるように和希くんを見つめた。