「貴広、大人気ない態度取ったりしてごめんね」

「こうやって話せたんだし、結果的オーライってことで」

そう言った後、貴広はくしゃみをした。

「車戻った方が良さそうだね」

「そうだな」

真冬の砂浜は悪くないけど、長居は禁物。

冷たい潮風の香りを感じながら、車へと戻った。

そして、帰り道に牛丼屋で夜ご飯を食べて、貴広の家へ。



「──何かすごく寒気するんだけど」

家に着くなり、貴広が言う。

「風邪ひき始めなんじゃないの? 熱計ってみたら?」

「あぁ。そうする」

念のために熱を計ってみると──。

貴広は高熱を出していた。