「──そうか…」

貴広はつぶやくように言う。

「あたしだって、貴広のこと信じてるよ。でもすごく不安になるの」

「ずっと、神戸とオレが話すところ見て嫌な思いさせてたんだよな。ごめんなもえ」

「ううん。貴広は悪くないよ。話しかけられたら無視するわけにもいかないもんね」

「そうなんだよな…」

はぁと貴広がため息をついた。同時に白い息が浮かび上がった。


「──今日、食堂で神戸と一緒に食べたのは偶然だから。たまたま。オレの隣が空いてたから…」

「分かってるよ」

必死に説明する貴広にクスッと笑ってしまった。

不思議だね。口に出して不安なことを相手に伝えると、もやもやが嘘みたいに消えた。