「もえは一途だもんな。簡単に心変わりしなさそうだな。とりあえず今日はもえと会えて話せただけで十分だよ」

竜くんにあきらめる様子は全く持ってなさそうだ。

どうしたらいいんだろう?

今日、竜くんに会ってしまったことを貴広に正直に話して、貴広から竜くんにガツンと言ってもらうのがいいんだろうか?

そんなことを考えているうちに車は走り出していた。

「竜くん帰るんだよね?」

「さぁな。どこ行くんだろうな?」

「……」

「おいっ。冗談だよ。さすがのオレもホテルになんか連れ込まないから。そんなことしたらもえに嫌われるだけだし」

「タチの悪い冗談やめてよ!」

あたしは強い口調で言い放つ。