竜くんの元カノはあたしの存在に気付いていた。

でも、仕事の休みを代わってもらってまで、彼氏と過ごしたかった。

それくらい本気で好きだったということだ。

あたしはそれほど竜くんを好きだったのか、分からなくなってきた。

「もえ、オレと彼女が幸せそうなカップルに見えたってさっき言ってたよな?」

「うん」

「オレは必死に作り笑いしてた。このツリーを見る相手がもえだったらってずっと考えてた。苦しかった」

「……」

「もえに他に男が出来るなんて、想定外だった。でもどっちつかずの態度をとってたオレはバチが当たったのかなとも思ったよ」

竜くんは自嘲気味に笑い、言葉を続ける。

「すげーショックだった。だから今度こそ彼女と別れようって決めたんだ。それからオレは彼女に気が済むまで殴らせた」