「もえと出会った頃、オレは彼女とうまくいってなかった」

「そう…」

「気の強い性格でオレがついていけなくなっていたんだ。別れ話をしても結局は平行線。うんざりしてた」

竜くんは言葉を続ける。

「そんな時、もえに出会った。素直そうな感じがいいなと思った。一応彼女がいるのにいけないとは分かってたよ」

「……」

「もえにダメもとで連絡先を渡して、連絡がきた時はすごく嬉しかった。彼女とも別れる気でいたんだけど…。何を言っても嫌だの一点張り。挙げ句の果てに死ぬなんて言い出して怖くなった。まぁ。それがいけなかったんだろうけど」

竜くんは寂しそうな表情になる。

後悔が滲み出てるように思えた。

「結局、オレはダメな男だよな。もえをキープみたいなことして、彼女と別れられないままでいたんだから。クリスマスの日だって、あいつは仕事だったんだ。でもオレが他の女と過ごすことに感づいたみたいで休みのシフトを変えてもらったみたいなんだ」