背後に立つ若い男の声。 聞き覚えなどない。 「ありゃー、お前1人か。」 男はそう言うと、由紀乃を通り過ぎてリビングへと入って行く。 由紀乃はジッと男の背中を見つめた。 その目は、恐怖で揺らいでいる。 茶髪に、180cmはあるであろう背丈、低い声に、家中を物色する足取り… きっと、両親は借金とりから逃げたのだ。そして、こいつは私を…… 「おい、由紀乃ー……って…」 男が振り返り由紀乃の名を呼んだ。 しかし、 「え?なに泣いてんの?」 由紀乃はこれまで見たことないほどの涙を流していた。