ご近所迷惑なほどの怒声で基樹に叱られた由紀乃は、連行されるようにトボトボと自宅に向かう。
「お前、なにしてたんだ。こんな時間まで。」
「…えっと。ごめんなさい。」
「もう、こんな時間までウロつくなよ。
……それに、心配かけんな。あほ。」
基樹が自分を心配?
由紀乃はびっくりして、基樹を見たけれど、薄暗く、まっすぐまえだけを見る基樹の表情はよく分からなかった。
「基樹…。」
「なんだ?」
「手、離して。」
「…だめ。お前、すぐにどっか行くから。」
「行きません…」
「いーの。もうすぐ着くから、我慢しろ」
小さいときの記憶が、温かい想いと共に、由紀乃へと湧きあがってくる。
「……あったかい」
「ん?なんか言ったか?」
「なーんも!」
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