希龍くんはピクリと反応して、熱くなった唇をゆっくりと離した。
「…あ、チビ…」
1メートル先からあたしたちをジーッと見つめるチビ。
「こっちに来ちゃダメだよ。」
なんて言葉が通じるわけもなく、チビは嬉しそうに歩いてくる。
希龍くんの匂いがお気に入りだから。
「こら、チビっ」
真っ直ぐ希龍くんに向かってる。
だからまずいと思って、小さな体を抱き上げた。クリクリとした目は希龍くんだけをジーッと見つめてる。
そんなにお気に入りなの?
「…美波、俺部屋にいる」
希龍くんはそう言って部屋に入っていった。
猫アレルギーだから仕方がない。



