tender dragon Ⅲ


希龍くんはピクリと反応して、熱くなった唇をゆっくりと離した。

「…あ、チビ…」

1メートル先からあたしたちをジーッと見つめるチビ。


「こっちに来ちゃダメだよ。」

なんて言葉が通じるわけもなく、チビは嬉しそうに歩いてくる。

希龍くんの匂いがお気に入りだから。


「こら、チビっ」

真っ直ぐ希龍くんに向かってる。

だからまずいと思って、小さな体を抱き上げた。クリクリとした目は希龍くんだけをジーッと見つめてる。

そんなにお気に入りなの?


「…美波、俺部屋にいる」

希龍くんはそう言って部屋に入っていった。

猫アレルギーだから仕方がない。