tender dragon Ⅲ


少女漫画にでも出てきそうなくらい、甘ったるいセリフを耳元で言う希龍くんは、きっと確信犯なんだろう。

どこでそんなセリフ…


心臓がキューッとなって、背筋がゾクリとした。希龍くんの目を見れない。

そんなあたしを見て希龍くんはクスッと笑って、掬い上げるようにあたしの唇を奪った。


「ん……」

唇を挟むようなキス。

逃げ場がないから、希龍くんにしがみつくしかなかった。

さっきのセリフが頭の中をグルグル回る。


"美波は俺だけ見てればいいんだよ"

"俺も美波のことだけ見ててあげるから"


希龍くんって、こんな俺様みたいなセリフ言うような人だっけ?


「…っん、はぁ……」

息が苦しくなっても、唇はくっついたり離れたりを何度も繰り返した。