少女漫画にでも出てきそうなくらい、甘ったるいセリフを耳元で言う希龍くんは、きっと確信犯なんだろう。
どこでそんなセリフ…
心臓がキューッとなって、背筋がゾクリとした。希龍くんの目を見れない。
そんなあたしを見て希龍くんはクスッと笑って、掬い上げるようにあたしの唇を奪った。
「ん……」
唇を挟むようなキス。
逃げ場がないから、希龍くんにしがみつくしかなかった。
さっきのセリフが頭の中をグルグル回る。
"美波は俺だけ見てればいいんだよ"
"俺も美波のことだけ見ててあげるから"
希龍くんって、こんな俺様みたいなセリフ言うような人だっけ?
「…っん、はぁ……」
息が苦しくなっても、唇はくっついたり離れたりを何度も繰り返した。



