スッと指をすり抜けた指輪は、あたしの指にピッタリすぎて驚くほどだった。


「これは予約ね。」

「予約…?」

「うん、いつかちゃんとプロポーズするときのための予約。」

ほんと、どこ国からきた王子様なの。

恥ずかし気もなくこんなセリフを言えちゃうような人、なかなかいないよ?


「貰ってくれる?」

優しい希龍くんの口調に、気づかない内に自然と笑みがこぼれていた。

断る理由がある?

こんなに嬉しいことはない。


「もちろん!」


勢いよくギュッと抱きつくと、しっかりと受け止めてくれる。

左手の薬指の指輪がキラリと輝いた。

‐END‐