「わっ…!」
「悪いけど、大事な子がいるから。」
希龍くんの手が背中に回って、ギュッと力を込められる。
甘い匂いにクラクラした。
「ごめんね。」
女の子たちに見せつけるようにあたしを力強く抱きしめて、そのまま歩き出した。
抱きしめたままなのは、きっと希龍くんの精一杯の優しさなんだろう。
顔を見られるとあんまり良くないってことは、あたしよりも希龍くんの方がよく知っているから。
「希龍くん、歩きづらいよ…」
「ごめん、でももう少し我慢して。」
上を向くと、希龍くんも下を向いていて、顔がものすごく至近距離にある。



