一日で君を好きになる

「ええかな？」

背の高い早瀬君は、マヤの顔を覗き込む。

「う、うんうん！！分かった！！分かったよ！！うん！いいよ！うん！いいよ！」

早瀬君に顔を覗き込まれたマヤは、何度も首を縦に振った。

かなり動揺してるよねマヤ…。

「ありがとー」

「は、はい！いえいえ！で、では…行ってらっしゃいませ！！」

爽やかな早瀬スマイルに完全にやられたマヤは、顔を真っ赤にさせ、ダッシュで教室から出て行った。



私と早瀬君の二人きりになった教室。

この状況、どうしようか。

夢じゃないって事は、私は今日一日、早瀬君と一緒に過ごすって事だよね？

「鈴木さーん。ボーっとしてんとはよ行こやー。俺な、今崖っぷちやねんかー。今日一日でなんとしてでも鈴木さんに好きになってもらわれへんかったら、俺今日失恋するんやで？俺には時間がないねん！やし、はよ行こ！」

冗談っぽく、早瀬君は笑いながら私を誘う。

とりあえず、私は立ち上り、"うん"と、うなづいた。