急に体が横に大きく振られ、そして視界が暗くなった。 ばふっと顔が何かに埋まるように吸い寄せられた。 背中が何かにぎゅっと押されている。 「えと…葵?」 顔を横に向けると、ドクドクと心臓の音が大きく聴こえる。 大変だ。 抱きしめられてる。 「振られる気でおったから、まさかこんなんなるなんて思ってへんかったわー」 雨上がりの空のように、葵は明るく笑う。 「ほんまに良かったー。めっちゃ嬉しいー!」 体から伝わる葵の胸の鼓動。 私も多分、同じ位…いや、それ以上にドキドキしてるかも。