人気のない学校の屋上。

入学して5ヶ月が経ったけど、ここに来るのは初めてだ。

「ホームルーム終わったら、教室まで迎えに行くから」

そう言い残した彼が去ってから数分の間、私は立ち尽くしていた。

彼の名前は、早瀬 葵君。

隣のクラスの男の子。

背が高くて、顔もそこそこかっこよくて、性格も明るいし、とにかく男女共に好かれている彼。

私は彼の事を知っていたけど、彼は私の事なんて知らないと思っていた…。