「こないだ、凜に言ったけど、やっぱりお母さん、幸孝さんと結婚したい。和くんには、きちんと了承してもらったの。凜にも、きちんと、受け入れてもらってから、結婚したい。ダメ...かなぁ?」


お母さんはゆっくり、子供を寝かしつけるように、一言一言丁寧に言った。


前に、私がかなり態度悪く反対しちゃったから...慎重になってるのかな。


「うん...いいよ。」


ホントは、永也くんのこととか、まだ怖い。


解決はしてないから。


幸孝さんをお父さんって呼んだり和くんをお兄ちゃんって呼んだりすることも、多分できない。


でも...今は、お母さんの気持ちがわかる。


誰かをいとおしく想う気持ちがわかる。


だから、結婚したいっていうお母さんに反対できないんだ。


むしろ、賛成したい。応援したい。


「ありがとう...凜、ホントにありがとう...」


お母さんは涙を流しだした。


よっぽど嬉しいんだね...


「凜ちゃん、僕からもありがとう。お母さんのことも、凜ちゃんのことも、幸せにできるように、努力するから...」


幸孝さんはイスから立ち上がって私のイスの前に来た。


「よろしくお願いします。」


そして、私の前で土下座した。


「あ、はいっ。よろしくお願いします。」


私も急いでイスから下りて、土下座した。




「じゃあ、私、上あがるね。」


私はリビングを出て2階にあがり自分の部屋に入った。