「さーぁて、どんなの作るの?」
純香が母親の部屋から持ってきたという菓子レシピ本をパラパラさせながらそう言った。
純香の部屋で、計画たて中。
結局笑莉と菜喜もノリノリで、4人で前日の木曜日にチョコを作ることになった。
その日はちょうど先生の会議だのなんだので、午前授業の日だからチャンスなのだ。
たぶん学校の女子はこの日を狙っているだろう。
「最近のチョコは可愛いもんいっぱいあんのねェ、ほへー」
『ちょ、菜喜…おばあちゃんじゃないんだから』
「皆美味しそうだね!」
「う~ん、島崎先輩、あんまり甘いの好きじゃないって言ってたなぁ~っ」
『そうなの?』
「うん。他の先輩にそう言ってたの、聞いちゃったんだ」
「…俊介は、甘いの大好きなんだよね」
『へ~…、そうなんだぁ…』
「亜優君は?」
『え?えっとねぇ…』
この前、ココア買ってたなぁ。結構甘めの。
『甘いもん、けっこう好きだと思う。たぶん』
「へー…なんか、甘さ調整しやすいのとか無いかなぁ?」
「…じゃぁさ、クッキーにしたら?」
「「『え?』」」
菜喜の提案に、3人で声合わせて反応してしまう。
「甘いもの苦手な先輩のための、甘さ控えめクッキーをベースにして、甘いもの好きな俊介君と亜優君のクッキーには溶かしたチョコをつければ甘くなるんじゃない?」
『……おお~…』
ペラペラと出てきた菜喜の提案にあたし達はただ呆然としながら納得するしかなかった。
だって、言葉で無いくらいイイ案。
結局菜喜の案が通り、あたし達はクッキーを作ることになった。


