このバレッダは、とても温かい。
実際の温度は感じないのだが、なんだかいつでも亜優をそばに感じるのだ。
『えへへ…』
意味もなく、笑ってしまう。
ゴツッ
頭に痛みを感じる。
『いてっ』
「なにニヤニヤ笑ってんだよ、友紀」
『……かずにいこそ、ニヤニヤしてんじゃんかぁ』
あたしより更にニヤニヤしてるかずにいに、「ニヤニヤしてる」と頭を殴られるあたし。
まぁ、殴るといってもかずにいにとっては軽くなんだろうけどね。
結構痛いよ?かずにい。
その時不意に風がふいて、みんなの髪が揺れた。
その時かずにいに似合う明るめの茶髪がサラッと揺れ、耳が見える。
かずにいの耳にも、ピアス。
だけどつけてるピアスよりも、はるかに穴の数の方が多い。
かずにいは昔、といっても中2の頃、結構なヤンキーさんだったらしい。
今となってはイイお兄ちゃんって感じだけど、昔は粗暴で暴れん坊な兄貴だったみたい。
まぁ中3の頃の先生が超絶イイ人で、おかげでヤンキー卒業したらしいけど。
今は「俺は先生になりたいんだ」って張り切ってます。
「?、なに、友紀」
『え?あ、ううん、別に』
じっと見ていたのがバレて、とっさに目をそらす。
かずにいが先生かぁ…
うん、あたし生徒になりたいかも。