「見ましたわよ、奥さん」


亜優と6組の前で別れ…

7組に入った瞬間、目の前の純香にそう言われた。


『…奥さん?』

「今日も旦那さんとラァブラブですことー!」

『純香…どしたの?』

「見たよ~、今日も亜優君と手ぇ繋いでラブラブだったじゃん?」

普通の純香に戻り、ニヤニヤ笑って言う。

ああ…なるほどっす…。


『純香ー…あたしと亜優が一緒に登校するようになって、けっこうたつよ?その話題、遅いよ?』

「うっさいわね、リア充っ!」

純香はちょっとスネたようにする。

純香は絶賛島崎先輩ラブnow、である。


『あっ、純香。今日純香っち行ける?』

「行けるよー?」

『じゃぁさ、集まらない?今日、お母さん帰ってくるの遅いからさ』

「分かった!じゃぁ、笑莉と菜喜に言っとくね」

純香がそう言うと、あたしは席に着いた。


「おはよう、友紀ちゃん。」

前の席の杏梨がくるりと振り向き、ニコっと笑った。

『おはよ、…なに、それ?』

「えっ?あ…内緒」

杏梨はそう言って指を口にあてて「シィー」とやった。

あたしが指したのは、スケッチブック。

何描いてるんだろ?杏梨。

「先輩だよ」

杏梨は小声でそう言って、絵を見せてくれる。

『あ!』

それはこの前見せて貰った先輩にそっくりの絵。

「先輩をモデルにしてね、漫画…描いてみようと思うの」

『マジで!?ちょ、できたら見せてね!』

「当たり前だよ」

そういって杏梨は、ニコッと笑った。