『わっ、さむ!』

家を出た瞬間、ぴゅるるーっと北風にふかれた。

『おかあさーん、マフラー!』

一旦家に戻って、お気に入りの赤チェックのマフラーをとってくる。


あれから時は過ぎ―――――

季節は冬になり初め。

マフラーが要る程寒くなってきた。


『はぁ…寒いなぁ…』

家から出てすぐの公園で待ってると…

「友紀!」

と聞きなれた声に呼ばれた。


『亜優ー!』

向こうから走ってくる彼に向って、大きく手を振った。

亜優も振り返す。


「おはよう、友紀」

『おはよー、亜優っ!』

「さ、行こっ」

そういうと亜優は慣れたように私の手を握った。

『うん』

そう笑って、亜優の手を握り返した。