「ユウキくん!」

『アユミちゃん!』

「遅れてゴメンね?」

『ん、そんなに待ってないよ』



土曜日のいつもの喫茶店。

何も気を張らなくていい。



『ユウキ』に慣れてきたおかげで、あたしはゆっくり落ちついていられる。

ここにはいちいちワケ分からん文句を持ってやってくる女子達はいない。

いちいち怒ったりムキャーってなったりしなくていい。



好きな風に

好きなだけ

好きな話をできる。




ちなみにあたしは、亜優には好きな事をあんまり暴露していない。



あたしと亜優は、何にも壁も秘密もない幸せなリア充なカップル!って感じ。

に、思われるけど。



実際あたしは、少しだけ気を使っている。


やっぱり可愛いあたしでありたいし。
やっぱり理想の彼女でありたい。


『luckyman』…少年漫画が好きなのも、内緒。


だって可愛いあたしでありたいし。
ガラじゃないんだけど、少しでも女の子らしくありたい。


亜優がどんなあたしを好きなのかはわからない。

でもあたしは、可愛くて女の子らしいあたしでありたい。



でも理想を現実にするには努力が要る。


だから疲れる。



別に隠す様なことじゃないんだけど、もう伝えることもできなくなってきてる。


ちょっと後悔。




だからあたしは癒しを求めてしまう。

よくドラマとかで浮気した男が「俺は疲れたんだ!だから癒しを求めたんだ!」なんていってるけど。

少し分かる気もするなぁ。


あたしは亜優を裏切る気はない。
あたしは亜優を捨てる気はない。



今ちょっと自分に疑問を抱いた。




〝捨てる〟?



あたしにとって亜優は



何?