「ねぇ、友紀は好きな人いないの?」

あ、なんか、デジャヴ。


あたし達は、純香の家にいた。

あたし達というのはもちろん、あたし、純香、笑莉、菜喜。

あたし達は帰宅部のため、時々こうやって学校終わりに誰かの家(主に純香っち)に行く。


『…なんで急に?』

「いや、なんとなく~?」

笑莉がそういうと、ジュースのストローに口をつけ、ちゅーと吸った。

「そういや友紀から恋愛話って、あんまり聞かないね」

菜喜がそう言って、ポッキーを名の通りポキッといい音をならして食べる。

「中1冬の楠木君以来だよ~」

『ねぇ純香、ニヤニヤしてるけど、楠木君〝以来〟って、あたしまだ恋バナしてないんですけど?』

そういってもニヤニヤしつづける純香。

「で、どうなの?」

『いないってば』

「なんでイライラしてんのさ」

2回目だからね。


どうしよう、この人達には杏梨の様な可愛さを感じられないんだけど。