「友紀ちゃんは好きな人いないの?」

『え?』

昼休みから図書室に行き、そこでの授業(自習)も終わり、教室に戻る途中。

杏梨が急に聞いてきた。

『好きな人……いないかな?』

「恋したくもない?」

『いや、別にそんな事はない…けど…なんでそんな急に?』

「ん~、雛先生の本読んでるとね、キュンってして恋っていいなぁ~って思うんだよね」

少し頬をあからめて、杏梨がそう言った。

『杏梨は…いるの?』

「…ふふっ」

抱きしめるように持っていた雛先生の本をギュッとさらに抱きしめるようにする杏梨。

『え、何それ。何その笑い。いるの!?ねぇ、いるの!?』

「…まぁね……っ、あ!先輩!」

窓の向こうにその想い人の姿を見つけたらしく、杏梨は窓に駆け寄った。

はぁー…とキュンキュンなうとでもいうように、誰かを見つめる杏梨。

『…で、誰よ』

「ほら、あそこの右から2番目の人。美術部の先輩だよっ」

『む~…、…ほわぁ。イケメンさんだねぇ』

「でしょ!?だよね!?はぁ~、先輩…」

杏梨は美術部。

どうやら先輩ぞっこんメロメロなうらしい。


恋する乙女ちゃんは可愛いね。