あれは中3の春……

あたし達は友達の純香の家に集まっていた。


『あたし達』というのは…

橘 友紀-tachibana yuki-(あたし)。

樹月 純香-kizuki sumika-。

繭住 笑莉-mayuzumi emiri-。

日岡 菜喜-hioka naki-。


この4人は、1年の頃席が近くでなんとなく仲良くなった4人。

そのなんとなくが、ここまで続いてるんだからすごいよね。

しかも皆同じ高校だよ。

狙ったんじゃなくて、皆に行きたいとこを聞いたら偶然そろったって話。

すごいよね。


まぁそんな受験も終わって皆合格して楽しい春休みに…純香に呼ばれ、集まった。

皆暇だったから、とりあえず話したり遊んだりした。


そしてなんとなく暇になった時…純香がトランプを取り出してこう言った。

「ババ抜きやって、負けた人罰ゲームね。」

その罰ゲームとは…優勝者の言う事を聞くこと。

あたしは弱いから嫌だったが、笑莉と菜喜が喜んで参加したため、あたしももちろん強制参加になった。




案の定――――――あたしはボロ負け。


ニヤニヤと嬉しそーに笑ったのは…優勝した、純香。

純香は恐ろしい。

すぐ無茶ぶりしてくる。

このニヤニヤした顔は、危ない。



「じゃぁ…友紀が言う事聞くんだよね」

『ハイハイ…どうぞ』

あたしは諦め顔で全てを受け入れることにした。




「じゃ……男装して、街に行って」



純香はそう言った。




これが全ての始まりだった…。