あたしたちは、夕方まで霧島高原を満喫した。
人からみたら、ありふれたカップルに見えたのかもしれない。
観光客らしいおじさんが、あたしたちに近づいてきた。
「お二人の写真を撮ってあげましょうか。」
と、聡司の手にあるカメラの方へ手を伸ばした。
1瞬、間が空いた。
「あ、いえ、結構です。」
あたしと聡司は図らずも同時に答えていた。
「そうですか。」
ちょっと戸惑いながら、おじさんは去っていった。