いつもの公園に約束の時間に行くと聡司の車が停まっていて、聡司はシートを倒して本を読んでいた。影が映らないように気をつけながらそっと運転席の窓に近づいてみる。
本のタイトルは・・・「双曲線関数Ⅳ」。
やっぱり。小説なんかよむようなタイプじゃないとは思ってたけどね。
あたしは窓をコンコンとノックした。
「お・ま・た・せ。」
聡司は慌てて上半身を起こして、窓ガラスを下げた。
「ごめん、気が付かなくて。」
と照れたように笑う。
「わざと気付かないように近付いたの。」
そういうと、あたしは車の前を通って助手席側に回った。