あたしは少し考えた。
「そんなことないと思う。聡司と再会したのは3月よね。1月にはあの写真が出てきていて、それからずっとあたしは婚約を破棄するべきかどうか迷っていたの。もしあの時聡司と再会しなかったとしても、婚約破棄は時間の問題だったと思う。」
「そうか。・・・じゃあ、無理やり奪ったわけじゃないんだな。」
「ええ。」
「・・・もし、奪ったといわれたらそれでも仕方ないと腹は括っていた。だけど、やっぱり蒔いた種は刈り取らなきゃいけないときがくるから、ちょっと不安だったんだ。由佳に辛い思いをさせるようなことだけは避けたかったし・・・。でも、安心したよ。」
聡司はふう、と息を吐いた。