「あの、ひとつだけ聞きたいことがあるの。どうしても本当のことを知りたいの。」
「・・・わかった。何?」
「どうしてあたしと婚約したの?あたしと結婚しようと思った理由は何?」
「それは・・・。」
優也は苦しそうに黙り込む。
「遠慮しないで、本当のことを教えて。」
「・・・わかった。俺は・・・本当はずっと結婚しなくていいと思っていたんだ。」
「それは、百合さんのことがあったから?」
「・・・うん。だけど、おふくろは・・・昔から体が弱かったし、俺を早く結婚させて、嫁と同居したいという強い願望があった。俺が大学を出て2年くらい経つと、早く結婚しろと急き立てるようになって・・・。それも、由佳に来てもらうことが長年おふくろの夢だったんだ。俺はそれがわかっていたから、結婚するなら由佳しかいないと思っていた。」
あたしは小さくため息をついた。
「そうだったの。・・・おばさまには昔から可愛がって頂いたものね。」
「由佳だったら自分の娘のように思えるって言ってたから。・・・でも、そんな身勝手な思いで由佳を振り回してしまって、本当に申し訳ないと思ってる。ごめん。」