「友人・・・。」
「まあ、婚約者の父親の前で、友人以上の関係だと認める男はいないだろうからな。・・・大学時代に知り合ったらしい。親しく付き合っていたそうだ。あの女性の身元が割れた以上、過去に遡ってふたりの関係を調べることは難しいことじゃない。優也くんもそう判断して、自ら話す気になったようだ。」
「そう・・・。それで?」
「あの女性と結婚する気はないといっていた。もちろん、あの調査結果からも分かるように、あの女性は離婚できないだろうから、それはそうだろう。ただ・・・」
「ただ?」
「婚約者がいるのに、親しい女性の友人がいるのは好ましくない、と認めさせることはできた。優也君も、由佳に不愉快な思いをさせたことは申し訳なかったと言っている。今回の婚約を解消することも認めてくれた。」
「そう・・・。」
あたしは安心して、ソファの背もたれにもたれかかった。