山の方に向かって車は走る。
蛍は水が綺麗なところじゃないと棲めないから、上流を目指して。
猪野川沿いにゆっくり車を走らせていると、
「あ!」
と聡司が小さく叫んだ。
「ほら、あそこ。あの光、そうだよね。」
蛍が飛んでいた。