その次の土曜日の夜、あたしと聡司は蛍を見に行く約束をしていた。
心が少し痛んだけど、親には亜由美と映画を観てくると嘘をついた。
「あんまり遅くならないようにね。気を付けるのよ。」
母は、あたしが優也のことで落ち込んでると思っているから、最近あたしが遊びにいくのにも寛大になっている。
ちょっと、胸の奥がひりりと痛んだ。
「うん、大丈夫。行ってきます。」
お母さん、嘘ついてごめん。