調査員の人が帰った後、父は資料を持って、近いうちに優也と話をしてくると言った。

あたしは布団の中で、その会ったこともない百合さんのことを考えていた。

きっと、恋愛結婚ではなく、だからこそ離婚できないんだ。
恋愛結婚なら、嫌いになったら離婚できる。
でも、政略結婚というか、家のため、会社のための結婚だったら、自分の感情のまま離婚に踏み切ることは難しいだろう。
ましてや、子供もいるなら尚更。

あたしが同情するのはおかしいかもしれないけれど、あたしは同じ女として、心から百合さんを可哀想だと思った。
だからといって、不倫していいわけじゃない。
そんなこと、当然だ。
でも。百合さんだって、それは分かっていると思う。分かっているけれど、止められないことって、この世にはあると思う。
生きることは、時に悲しい。この悲しみはどうすれば消えるのだろう・・・。