あたしたちは夕方まで、しっかり遊んだ。
手をつないだり、離したりしながら。
「そろそろ帰らないとな。」
聡司の言葉に、うなずいた。
仕方ないとわかっているけれど、一抹の寂しさは隠しきれない。
高速に乗ってからも、数学の話、音楽の話、色々話しながらも、刻々と近づく別れの時間を心の片隅でカウントしていた。

見慣れた風景が目に入ってくる。
もう、公園はすぐそこ。
おもわず、言葉が少なくなる。
聡司もいつの間にか黙り込んでいた。

公園についた。車が止まる。
「・・・・今日はホントにありがとう。それじゃ、ね。」
あたしはシートベルトをはずした。
もう一度、会って。
家庭教師じゃなく、ただの聡司として。
でも、言葉にできない。
・・・もう、車降りなきゃ。
あたしは助手席のドアに手を掛けた。