園内は恋人同士と家族連れで賑わっていた。
笑顔と幸福感が満ち溢れている。
そんな中にいると、あたしたちの間にもなんともいえない親密さが生まれ始めていた。
「ねえ、あっち。あれに乗りたい。」
あたしは、聡司の手を自然に取った。
聡司も笑顔で、あたしの手を握り返した。
暖かい、聡司の手。
1度握ると、2度と離したくない。

「腹減ったか?そろそろ何か食おうか。」
そういわれて、始めて12時を過ぎていたことに気が付いた。
「うん。じゃあ、どこかで食べよ。」
そういいながらも、ほとんど食欲を感じていない自分に気が付く。
聡司といることに夢中で、食欲どころではなかったらしい。
「本当はお弁当作ってきたかったんだけど・・・今は無理だから。」
「わかってるよ。気にすんな。」
「・・・あたし、料理は自信あるの、結構。」
「へえ、そうなんだ。それじゃ、いつかごちそうしてくれよな。」
聡司が微笑む。
いつか、必ず食べて欲しい。あたしの手料理。