「さあ、着いた。」
「やっと着いた~。運転お疲れさまでした。」
「いえいえ」
駐車場を出て、園のゲートへ向かう。
ここは熊本県。
福岡からはなれたことで、かなり開放的な気分になった。

ふたりで並んで歩いていると、恋人同士のような錯覚に陥ってしまう。
でも、あたしにはまだ事実上婚約者がいるし、聡司の気持ちもわからない。

・・・でも、今日はそのことは忘れよう。
今ふたりでいて、ふたりとも楽しい。
それが全てだし、それで十分なんだ。
あたし、生まれてきてよかったって、今本当に思える。
神様、ありがとう・・・。