次の日は病院へ行く日だった。
先生はあたしの喉を見て、
「かなり腫れがひいたわ。痛みはどうですか?」
と聞いた。
「ええ、おかげさまで楽になりました。熱も下がりました。」
「そうですか。よかったわ。それじゃ、風邪の方はもう大丈夫ね。
それから、もうひとつの方だけど・・・」
先生は手元の資料に目を落とした。
「血液検査も異常なし。心電図にも特に目立った異常はありません。
実は、私の弟が大阪で心療内科を開いているの。昨日電話で聞いてみたんだけど・・・
実際に倒れた状態を確認していないから、断言はできないけれど、おそらく過呼吸症候群じゃないかと思うの。過換気症候群とも言うんだけど。」
「それは、どんな病気なんですか?」
「そうね、病気・・・といえば病気だけど、私はあまり深刻に受け止めないほうがいいと思うのよ。簡単に言えば、由佳ちゃんが、成長しつつあるということなのよ。」
「というと・・・」
「由佳ちゃんが子供の頃は、すべてをあるがままに受け止めるしかなかったのよね。子供って、そうやって環境に順応して生き延びていくのよ。
でも、由佳ちゃんが段々大人になるにつれて、自分の頭で色々考えたり、心配したりするようになったのよね。そうすると、色々な矛盾に突き当たるようになる。でも、何でも自分の思い通りになるわけではないでしょ?」
確かに、その通り。