数日後、あたしは季節はずれの風邪を引いて、久しぶりに行きつけの内科へ行った。
そこは小児科と内科が一緒になっている病院で、そこの女医さんにはあたしが物心着く前からお世話になっている。
微熱があることを伝え、喉をみてもらった。
先生は喉を見ると、
「あらー、かなり腫れてるわね。それじゃ、感染症予防に抗生物質と、あと風邪薬と解熱剤も2日分出しておくから。あさってまた診せてね。」
とカルテを書きながら言った。
「ありがとうございます。・・・あのー、先生。ちょっとご相談があるんですけど。」
「どうしたの?」
先生はカルテを書きながらあたしの顔をちらっと見た。
「先生・・・親にはまだ言ってないんですけど・・・私、時々気を失うんです。」
先生の顔が引き締まって、あたしに向き直った。
「今まで何回位?」
「そうですね・・・5、6回かな。」
「どういう状況で?朝とか、夜とか、時間帯が決まってる?」
「いえ、時間帯はまちまちです。」
先生は、私の脈をとった。
「一応、心電図と血液検査をしましょう。その前に血圧を測って見ましょうね。」
早速看護師があたしの血圧を測り始める。
「気を失うとき、他にどんな症状がある?」
「最初に息苦しくなって、一生懸命息を吸うんですけど、吸っても吸っても苦しくなるばかりで・・・。そのうち、体が痺れて、気が付くと気を失っているんです。」
「先生、120の80です。」
看護師があたしの血圧を告げる。
「そう、血圧は正常ね。症状だけ聞くと過呼吸症候群が疑わしいけど、念のため検査だけはしておきましょう。」
「過呼吸症候群、ですか。」
あたしの腕から血が抜かれる。
「まだ決まったわけじゃないけどね。検査の結果をみてから、詳しく説明します。血液検査の結果は明日にしかわからないから、次回の診察日にね。」
そのあと心電図を取り、あたしは家に帰った。