母は、母親特有の勘で、あたしたちが最近うまくいっていないことをうすうす感づいているみたい。
時々、探りを入れてくるけど、あたしは適当にかわしている。
そこにこの小包だ。
「中身、何なのかしら。」
ちょっと不安げに訊く。
「みてみる。」
あたしはその場で小包を開けた。
中には、あたしが大好きな、天神にある有名なケーキ屋のクッキーが5袋、そして手紙が入っていた。
「由佳へ。
最近、忙しくてなかなか会えなくてごめん。今日、仕事で店の前を通ったから、買いました。よかったら食べてください。優也」
ビジネス手帳の1ページを破りとって、走り書きされている。
きっと、クッキーを買って、その足で郵便局へ行って発送してくれたんだろう。
母は安心したらしく、
「仲のいいこと。ごちそうさま。」
と笑顔で立ち去った。

あたしはその箱と手紙を2階に持ち上がり、机の上においた。
あたしはベッドに突っ伏して泣いた。
残念なことに、それはうれし涙ではなかった。
この小包を嬉しいと思えなかったこと、それが悲しかったのだ。
あたしは、もしかしたら、もう優也のこと・・・。

それ以上考えるのが怖かった。