「由佳!おはよ!!」
クラスの入り口に入ろうとした時、
亜由美が後ろからあたしの背中をぽんと叩いた。
「おはよー。亜由美は朝から元気ねえ。」
亜由美とあたしは4年ぶりに同じクラスになった。
しかも、席が隣同士。
高校最後の1年をまた亜由美と一緒に過ごせるのは、素直に嬉しい。
「あたしは朝型だもん。」
そういって笑う亜由美は、最近綺麗になったと思う。
だれか好きな人でも出来たかな?

「ねえ、由佳。最近元気ないんじゃない?」
ドキッ。
「・・・そうかな。」
見抜かれていたか・・・。
「そうよ。あたしの目をごまかそうなんて、あたしたちの友情を見くびってるわね。
何があったのか、正直に答えなさい。」
「別に、たいしたこと無いんだ。」
うそつき。すごくこたえてるくせに。
「ふーん。・・・ね、最近、優也さんとはちゃんと会ってるの?」
亜由美はあたしの顔をちらちら見ながら、かばんから教科書を出している。
「そうね、2週間前にドライブに行ったよ。」
「じゃ、それっきり!?」
「今、忙しいんだって、仕事が。あたしも、ちょっと自由にしたいの。今。」
「そう・・・。」
あたしもかばんから教科書を出した。
「・・・あのさ、人生長いんだから、色々あると思うよ。だから・・・まあ、元気だしなよ。」
亜由美はそういって立ち上がると、トイレにいってくると行って立ち去った。
あたしは、ため息をついた。