散々悩んだけど、別れる決心はつかなかった。
優也は相変わらず優しいし、両親の手前、いまさら婚約を破棄したいなんて言い出しにくい。
それに、いま婚約を破棄して本当に後悔しないかどうか、自信がなかった。
もう少し、様子を見てからでも遅くは無い。

2月の第二日曜日、誕生日プレゼントだと言って、デパートで買ったセーターを渡した。
優也は喜んでいた。
優也は、4月の人事異動で、しばらく忙しくなると言った。
彼は将来は斉藤さんの会社の跡取りになる予定だけれど、若いうちに武者修行してこいといわれて、今は大手メーカーに就職している。
異動は4月だけど、3月からあたらしいプロジェクトの準備に入るから、寂しい思いをさせることもあるかもしれないけど、ごめんねと彼は言った。
あたしは、構わない、私も最後の高校生活をエンジョイするからと答えた。


そんな状況のときに、聡司と再会したのだった。