あたしはいつのまにか泣いていた。
どんなに押さえようとしても、涙が流れ続けた。
あたしは今まで、優也を信じていた。
疑ったことなんて、1度もなかった。
あたしのことを好きだといった優也。
あたしは、優也のことをこの家から助け出してくれる王子様のようにおもっていたのかもしれない。
年末年始、あたしはセーターを編んでいたの。
優也の誕生日、2月4日に渡そうと思って。
でも、そのとき、優也は、あたしのことなんか考えていなかった。
この女の人ををみつめていたんだ。ファインダー越しに。
そして、その腕に抱いたんだろう・・・。

あたしは、涙が涸れるまで泣き続けた。
そのとき、また前のように、呼吸が苦しくなっているのに気付いた。
そのうち、全身が痺れて・・・あたしは気を失っていた。

その次の日曜日のデートの誘いは断った。ついでに4日の誕生日にも会えないと言った。風邪気味だといったら、心配していた。
あたしは、躊躇した挙句、セーターは捨てた。
あたしは編み物が得意で、今回のは特に力作だった。
でも、あたしの愛情、あたしの真心が編みこまれたセーターを、渡せる心境じゃない。