3月のとある日曜日の昼下がり、
あたしは読みかけの単行本をベットの上において
おおきく伸びをした。
日差しがまぶしくて、3月にしては暖かい日だった。
コーヒーが飲みたいな・・・。
あたしはキッチンに降りていった。
おかあさん、コーヒーを沸かしてくれてるといいんだけど。

そのとき。
「ピンポーン」
玄関のチャイムの音がした。
ちょうど玄関のそばにいたあたしは、とっさに
「はーい」と答えてしまった。

失敗。
インターホン越しに話をしないと、最近は物騒なのに。
仕方ないから、ドア越しに
「どちらさまですか?」
と声をかけた。
「突然すみません。東京の聡司です。」
「え、聡司?」
あたしは、急いでドアを開けた。

まぶしい光が差し込む。春の風も同時に舞い込んできた。
そこには若い男性が立っていた。
でも、たしかに聡司の面影がある。
「久しぶり、由佳。」
「久しぶり、聡司。」