それは1月最後の日曜日だった。
朝から快晴で、風は冷たいけれど、ドライブ日和。
あたしたちは優也の運転で、虹の松原に繰り出した。

虹の松原は悲恋伝説が伝わる地。
恋人同士で行くのはよしなよって、亜由美からも言われた。
でも、そんなこといってたら「かしいかえん」だって、
「三井グリーンランド」だって、カップルで行ったら別れるって噂があるし、そんな噂は吹き飛ばしてしまうくらいの自信があった。

途中のパーキングエリアに車を停めて、外に出て海を眺めた。
冬の海はよそよそしくて、あまり好きじゃない。
でも、今日は風が弱いせいで波も静か。
青い空の下の海はきらきらと光って綺麗だった。
車に戻ると、
「やっぱり外は寒いな。」
と優也が言った。
「そうね。」
「どこかコンビニに寄って、暖かい飲み物買おうか。」
「うん。」
あたしは優也の優しさが嬉しかった。

コンビニに駐車して、優也が
「どうする?一緒に行く?寒いから車で待ってていいよ」
と言った。
「そうね・・・、じゃあ、あたしはコーヒーをお願いしていい?」
「うん、OK!」
優也は笑顔で車を降りた。

優也がコンビニに入っていった後、あたしはガイド本を見たくて、
車のダッシュボードを開けた。
あたしたちが付き合い始めた頃、ドライブのお供に二人で選んだ本をいつもそこにいれていたから。

いつもは本と車検関係の書類しかはいっていないのに、
珍しくビニール袋に入れられた写真の束があった。
あたしは、本当になにげなく、見てしまった。
その写真を。