「そうよね、やっぱり。でも、昨日お母さんに言われたの。死ぬほど好きじゃないと結婚できないんだったら、お見合い結婚なんか成立しないわね、って。」
「そう来たか・・・。じゃあ、お母さんはこの話に乗り気なんだ。」
「そうみたい。優也が本気だってわかって、その気になったらしいわ。知らない男のところに嫁にやるより、ずっと安心できるって。親同士も仲がいいから、嫁姑で悩むことも少ないんじゃないかって思ってるみたいだし。」
「ふーん・・・そんなもんかねえ。」
「ほら、自分が恋愛結婚で失敗したと思ってるからさ。恋なんて一時の感情、そんなあてにならないもので結婚するより、お見合いの方がずっといいっていうのが持論の人だからね。」
「つまり、由佳にとっては、お見合い結婚みたいな感じなんだ、優也さんとの結婚話って。」
痛いところをつかれて、ぐうの音も出ない。
亜由美はしばらく何かを考えていた。そして、
「うちの両親は見合い結婚なんだよね、実は。」
と言った。
「確かそういってたよね、前。」
「うん。
・・・両親みてたらさ、見合いも悪くないって思うよ。
でも、あたしは・・・恋愛結婚したいかなあ。」
亜由美は空を見上げて言った。
「うん・・・あたしも。」
あたしも、同じ空を見上げて答えた。