初めて2人で遊びに行くようになってから半年位経った頃、
斉藤さんが我が家に来て、
「今日はちょっとまじめな話で伺いました。」
と言った。
「最近、優也が由佳ちゃんをあちこちひっぱりまわしているようなんで、
相手は年頃の娘さんだし、優也の気持ちを確認したんだ。
優也は、由佳ちゃんとなら結婚も視野にいれて付き合いたいといっている。
家内も大賛成なんだ。
そこで、由佳ちゃんと、ご両親の気持ちを伺いたくて。」
父は横にすわっていたあたしをひじでつついた。
「どうなんだ?お前は優也君のことをどうおもってるんだ?」
あたしはびっくりした。
優也があたしと結婚を考えてるなんて・・・。
あたしはまだ優也から好きだとか、言われたことは無い。
友達みたいな感覚でいたから、にわかには信じがたい話だった。
「あの・・・優ちゃんが、あたしと結婚も考えてるって本当に言ってるんですか?」
「びっくりさせてしまったんだったら、ごめんよ。由佳ちゃんはまだ16歳だしなあ。
ただ、若い者同士で行動していて、もしあやまちがあってからじゃおそいんじゃないかって、おじさんが心配して優也を問いただしたもんだから、急にこんな話になってしまって。
でも、優也は真剣な気持ちらしい。由佳ちゃんに対しても不誠実な行動は取っていないと断言していた。」
確かに。だって、手をつないだことさえないんだし。
でも、だから信じられなかったのよね。私と結婚したいってこと。