〜楓side〜


「「やぁーーー、とぉーーーー」」


平太先輩が剣道している姿をどうしても見たくて、結子達を連れて訪れた道場で数人の男性達と会った。



永 「おいっ平太!ぼーっとしてねぇで稽古するぞ。

嬉しくてニヤニヤしたい気持ちも分かるが…。」


原 「そりゃ愛しの恋仲がいるんだ。浮かれちまうよなぁ。」


平 「っっっばっか!そんなんじゃねぇよ!新にぃ、雅之助にぃ…早く稽古するぞ!」


平太先輩とっても楽しそう…。皆仲がいいんだなぁ。


懐かしい………。







ん?なんで懐かしい?


なんか前にもこんな風に平太先輩の事見てたような気が……。




………思い出せない。




気のせいだよね?だって初めて会った人ばっかりだし。



でも、何故か人見知りの私が、平太先輩には短時間で心を開けた。



ここの人達にも他の人に対するような警戒心が出なかった…。





どうして………。





平 「楓危ないっ!」



その時、沖田先輩と戦っていた原田さんの竹刀が私に向かって飛んで来た。




………ばしっ!



痛っ!………くない。





咄嗟に閉じていた目を開けると、そこには平太先輩の背中が見えた。



平 「総治、雅之助にぃ!気をつけろよ!危ねえだろ。」



原 「わりぃわりぃ。おい、楓大丈夫か?」



総 「平太、見せ場ができて良かったですね。」



いきなり呼び捨ての原田さんに何故か黒い笑顔の沖田先輩………。





楓 「平太先輩……ありがっ………。」



平太先輩が振り返り、こちらを見た瞬間……頭の中にある映像が流れ込んで来た。







古い建物の広い庭にはためく浅葱色の洗濯物。
髪の長い原田さん似の男性とちょっと具合の悪そうな沖田先輩似の男性。



そして私の前には……少し大人っぽくなった平太先輩……。






なに………これ?


私……知ってる……?




そこで私は意識を手放した。