近 「いや〜すまん、待たせたねぇ」
結子達が道場内で大人しく待っていると、優しそうなちょっとがっしりした体型のおじさまが入ってきた。
その後にゾロゾロと何人かが入り、道場内に腰を下ろす。最後に見慣れた三人の先輩がついて来ていた。が、心なしか元気がない。
結 「……あっ。お邪魔してます。
新撰大学幕末研究部の一回生の櫻木 結子です。こっちは高木時乃と岡江 楓です。」
突然入って来た人達にびっくりしつつ、結子はかろうじて挨拶をする。
近 「結子殿は君かぁ…いやぁ本当にありがとうなぁ。感謝してもしきれんよ。」
土 「こっ近藤さん!余計な事は言わないとさっき言ったでしょう。」
何故か突然結子に御礼を言い出した近藤さんと呼ばれる男性。目にはウルウルと涙が溜まっている。
何故御礼を言われたのか分からない結子はぽかんと近藤を眺めていた。
近 「いや〜…すまんかった。結子殿忘れてくれ。
私は近藤勇介。この道場の跡取りだが、今は警察官をしている。」
土 「土方 智だ。」
さっき近藤さんを叱っていた目つきの悪いワイルド風美男子が挨拶をする。
それに他の人達も続いた。
山 「山南 康介です。」
優しそうな眼鏡の男性だ。
永 「永倉 新也、よろしく。」
がっしりした優しいお兄さん風の男性だ。
原 「原田 雅之助だ。よろしくな。」
筋肉ムキムキの軽そうなお兄さん風の男性だ。
平 「あと俺ら三人は知ってるもんな。」
結・時・楓「「「よろしくお願いします。」」」
近 「君達、良かったら皆の稽古を見て行ってくれたまえ。
私達は所用があるので失礼する。
三人共、お会いで来て良かった。では…。」
今だ目を潤ませていた近藤は山南と土方を連れ、足早に道場を後にした。